「孤島に投げ出されて救い出される望みもないのは最悪だが,仲間たちのように溺れ死なずに生き続けていることは最良のことだ」とロビンソン・クルーソーは,困難な状況の中を軽妙に生き続けた。それは,トランスメタの,秘密を徹底しつつ,HTMLソースの中で遊ぶ軽妙さに,どこか似ている。
ラスベガスで開催されているコムデックス/秋展示会で15日,謎に包まれた新興企業トランスメタ社のメンバーで,リナックスOSの創始者のリーナス・トーバルズが基調講演を行なった。そのなかでトーバルズは,トランスメタ社が「ソフトウェアで作られた,初のスマートなCPU」を開発していることを明らかにした。講演後,トランスメタ社のホームページでは,無人島の絵と「クルーソー」というプロセッサーを来年1月19日に発表することが予告され,「クルーソーは従来のものとは違う,モバイルのためのクールなハードとソフトになるでしょう」との秘密のメッセージが,HTMLソースの中に掲載されている。
自らの秘密を徹底して守り続けるトランスメタ社(過去記事9/26,10/03)。今まで付与された特許をもとに予想されていたことが,正式に発表された。でも,ちょっとだけ…。すなわち,Windowsがインテルチップに与える命令,リナックスがインテルチップやPowerPCに与える命令,はたまたマックOSがパワーPCチップに与える命令を,ソフトウェアでトランスメタのチップが理解できるように翻訳し,どんな命令でも受け入れられるようにするという,未知のチップ・システム(もちろん,今はまだ予測でしかないが)。それが「クルーソー」だ。
ロビンソン・クルーソーは,無人島に漂着した後,自分で道具を作り,家を建て,地図を作り,食料を調達するなど,すべてを自らの手でまかなった。その力を与えたのは,彼の「生きたい」という強い気持ちと,「決してあきらめない」という負けん気の強さだった。そうしてその後,クルーソーは故国に戻り,大金持ちとなってハッピーエンドを迎える。トランスメタは,未知の大地に降り立ち,生き抜くべき強い意志を持ち,自らですべてを切り開こうとしている。さて,クルーソーにハッピーエンドは待っているかな?
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